今演劇人に必要なこと

2012年、現在我々が置かれている状況についての認識です。

 

我々が今いるアートの世界はマンパワーが全てです。

それもボランティアが殆どです。始めはだれもが、好きなことでお金を稼ぎたいと願い、若いうちに大きな業界に身を投入します。

演劇で言えば東京の有名な劇団や、事務所、TVのオーディションなどでしょう。

そのうち、それだけで自分が喰うには、自分に給料を支払う人が更に稼いでいないと成り立たないという道理に気付きます。

つまり、自分がピラミッドの一番下にいることに気付くのです。

仕事はコンスタントには入らず、入ってきても雀の涙です。これでは職業としては成り立ちません。

そう成り立たないのです。

 

ではアートはなくてもいいのか?文化がなくてもいいのか?新しい映画や音楽、小説や絵画や演劇はなくてもいいのか?そう言われればやはりあった方がいい。

しかも本当に良いものが。

20年後に聞いても素晴らしい音楽、20年後に観ても感動する映画がやはり生まれてほしい。

そしてその原動力が若者の「これが好きだから、自分の殆どの時間を無償で投じる」というボランティアであることは間違いありません。

そしてそのボランティア力が現在は復興に向かっています。

素晴らしい演劇を作りどうにかそれで食べていきたいというボランティア力が減っているのです。

自分の技術を磨くこと、自分の考える演劇のレベルアップを図るために議論することは、今することではないと若者たちは感じているようです

それは今後数年なのかそれとも10年なのか分かりません。

もし3年以上この状況が続いた場合、仙台で演劇のプロを目指す若者はかなり出づらくなると思われます。

仙台という土地が、新しい演劇を発信する風土を持ち合わせなくなっていくことでしょう。

仙台には演劇以外に誇るものが沢山あります。

演劇という、結果を出していない事業に助成する必要性が感じにくい状況になるのは確かです。

 

仙台シアターラボには、仕事を持っている人、演劇で食べていきたいと考えている人、それ以外にも色々な立場の人がいます。

1人1人にとっての「演劇」が違います。

その振幅の大きさが地方で演劇活動をしていく上で必要なもので、それらを抱える度量が地方の集団には必要だと思います。

その代償に、メンバーは常に仕事と演劇、演劇と家庭、個人と集団、メンバー各自の演劇観に引き裂かれています。

そしてそれは社会生活を行う上で当然のことだとも言えます。

アーティストは自分自身が引き裂かれる音に耳を澄まし、社会性を身につけていくのです。

 

今後我々が行っていくべきはレベルの高い演技を生み出すことだと思います。

我々が創りだせるのは演技の連鎖です。

まず演技ありきです。その演技が作品のレベルを決定します。

芝居を作る、シーンを作るというのは演技の連鎖の結果です。

見せたいのは出来上がった段取りや、出来上がったストーリーではなく、今目の前で起こっている俳優の演技です。

 

我々に今一番必要なのは、お客さんの認識を「アマチュア演劇」、「余暇に行うクラブ活動」から「プロの仕事」へ改めてもらえる作品です。

今後、仙台シアターラボはそんな作品を創りだしていきたいと思います。

 

宜しかったら是非、せんだい演劇工房10-BOXにお越しください。

お待ちしています。